ASIAN KUNG-FU GENERATION
2年ぶり開催の『NANO-MUGEN FES.』、自らヘッドライナーを務めるオーガナイザー=ASIAN KUNG-FU GENERATIONがそのステージの幕開けに選んだ楽曲は“サイレン”だった。シリアスな緊迫感に満ちたイントロのギターから、雄大にうねるアンサンブルが加速し、ハード・エッジな音の風景を描き出していく……そんな幕開けの光景が、オーディエンスの魂を震わせ、フロアを揺さぶっていく。さらに“Re:Re:”のアグレッシヴなビートで熱いOiコールを呼び起こし、「ほんとにほんとに『NANO-MUGEN FES.』お集まりいただきまして、ありがとうございます!」というゴッチの言葉とともにコールされた次の曲は“君の街まで”! 2ndフルアルバム『ソルファ』からの3曲に続けては、“暗号のワルツ”“桜草”と3rdアルバム『ファンクラブ』期の楽曲を連発。1曲ごとに高まる熱気が、1日目のクライマックスを目映く彩っている。 「『NANO-MUGEN FES. 2014〜悲しみをぶっとばせ〜』へようこそ!(笑)。またここでできて嬉しいです。ありがとうございます!」とゴッチ。ステージで使用する電力を太陽光発電と蓄電池で賄っていることを説明しつつ、「『NANO-MUGEN FES.』のアリーナに立つと、気が引き締まりますね。2011年もそうだったし」とゴッチは震災直後を振り返って語る。「続けてこれたことにも意味があると思うし。あの日以来の気持ちが乗っかってるのも、俺にとっては大きなことだと思うし。たまにね、俺って変なやつなんじゃないか?と思うの。新聞作っちゃったりさ。めんどくさいかもしれないけど、俺はロック・ミュージシャンなので、知ってしまった以上、黙ってるわけにはいかないんです」「自分がいいと思ったものを使いながら、世の中がよくなっていったらいいと思うし。ちょっと頑張ってる農家の野菜買うとか、そういうことで世の中変わると思うよ。『もう少し!』って進歩していくことが大事。いいよ、Twitterで『もっといいもの(曲)作れ!』って言ってくれても。いいもの作るから。俺たちとあなたたちの全面対決だ!」……そんな言葉とともに放った最新曲“スタンダード”の疾走感あふれるビートと力強い歌声が、ひときわ熱く胸に響いた。“振動覚”“リライト”とエモーショナルな『ソルファ』曲を畳み掛けた後、“ソラニン”のイントロがアリーナに響くと、オーディエンスが一面のシンガロングで応える。“君という花”に巻き起こったフロア一丸のハイジャンプ。“マーチングバンド”の揺るぎないアンサンブルと歌。至福のロック・アクトだった。 アンコールではアジカンの4人と一緒にTHE RENTALS・マットとASH・ティムが登場、勢いよく四股を踏む! 6人編成によるWEEZERの“UNDONE-THE SWEATER SONG”カバーに、歓喜のクラップが鳴り渡る。「音楽ってまだ可能性があると思うんだよね。鮮やかに海を越えたり、いろいろな境目を越えたりするんだよね。虚構、フィクションみたいな境界線を、音楽は見破っていくものなのかなって。それでアメリカ、アイルランドからきたミュージシャンと共演できて、みんなとこういう場を共有できて、とても嬉しいです!」とゴッチ。「みんなの明日が、もっといいものになるように……」と放った“今を生きて”が、福音のように熱く鳴り渡った。
2日目、『NANO-MUGEN FES. 2014』のグランド・フィナーレを飾るアジカンのアクトは“センスレス”からスタート。さらに“Re:Re:”、“アンダースタンド”へと続き、会場一丸のクラップとジャンプは刻一刻と熱を増していく。「ありがとう、ほんとありがとう。『NANO-MUGEN FES.』、2日目のいちばん最後はね、もうありがとうしか出てこないよね」とゴッチ。「続けることの難しさは何でもあって。俺たちはマジックディスクっていうアルバムの時にね、クソほど大喧嘩して(笑)。……2011年3月11日のリハーサルの日まで、ほとんど口をきいてなかった。その時……何つったらいいのかな、話さざるを得なくなったっていうか。山ちゃんにメールしたりしてる中で、『俺たち、何かやらなきゃ!』って。『俺たちができること、音楽しかないんじゃないの』って。そこからすごいチームワークで、それで『ランドマーク』っていうアルバムができて。だから、今年は特に……『ただいま』っていう感じです」。そんな真摯な言葉に、惜しみない拍手が広がる。「八方塞がりの負け犬だとしてもね、俺たちは吠えますよ!」と“ライカ”を叩き付け、「建さんのリクエストで」という“長谷サンズ”で会場をがっつり揺らしていく。 ライヴ中盤のMCで、2005年に初めて横浜アリーナで開催して以降の『NANO-MUGEN FES.』の試行錯誤を改めてゴッチが振り返る。「変わってるやつだと思われてたんだよね。でも、そいつを見つけるやつがいて、輪に加わるやつがいて……そうやって、どんな問題も少しずつ変わっていくはずなんだよ。だから、ずっと応援してくれてる人にもそうだけど、昨日から来てくれてる人にも俺はお礼を言いたい!」。そんな想いとともに放った最新曲“スタンダード”が、どこまでも力強く、揺るぎなく鳴り渡った。そこから一転して“フラッシュバック”、さらに“リライト”“ループ&ループ”!と初期ナンバーを立て続けに披露。君という花”で高らかなシンガロングを呼び起こし、“転がる岩、君に朝が降る”の揺るぎない演奏で本編を力強く締め括ってみせた。 アンコールでは再びTHE RENTALS・マットとASH・ティムとともに6人編成でWEEZER“SAY IT AIN'T SO”をドロップ! 「ウィーザーが出てくれた時、この曲をマットと袖で観てた」(ゴッチ)と万感の想いをこめてトリプル・ギター&Wベースで鳴らす轟音の威力! さらに、「もう一組ゲストを……」というゴッチの言葉とに導かれて、スカパラホーンズの4人:NARGO/北原雅彦/GAMO/谷中敦が登場! 「レコーディングがほんと楽しくて、頼もしいお兄さんが何人もできたような……」というゴッチの言葉とともに鳴り響いた“迷子犬と雨のビート”のファンファーレが、アジカンとロックと僕らの「その先」を照らし出すように、アリーナいっぱいに広がっていった。『NANO-MUGEN FES. 2014』の最高の2日間の終わりを告げる、最高の風景がそこには広がっていた。
■7月12日
- 01.サイレン
- 02.Re:Re:
- 03.君の街まで
- 04.暗号のワルツ
- 05.桜草
- 06.スタンダード
- 07.振動覚
- 08.リライト
- 09.ソラニン
- 10.君という花
- 11.マーチングバンド
- En1.UNDONE-THE SWEATER SONG
(w/Matt Sharp, Tim Wheeler) - En2.今を生きて
■7月13日
- 01.センスレス
- 02.Re:Re:
- 03.アンダースタンド
- 04.ライカ
- 05.長谷サンズ
- 06.スタンダード
- 07.フラッシュバック
- 08.リライト
- 09.ループ&ループ
- 10.君という花
- 11.転がる岩、君に朝が降る
- En1.SAY IT AIN'T SO
(w/Matt Sharp, Tim Wheeler) - En2.迷子犬と雨のビート
(w/スカパラ・ホーンズ)
1F
- ASIAN KUNG-FU GENERATION [JP]
- the chef cooks me [JP]
- グッドモーニングアメリカ[JP]
- the HIATUS [JP]
- It's A Musical [DE&SE]
- KANA-BOON [JP]
- LOSTAGE [JP]
- NICO Touches the Walls(Acoustic) [JP]
- OWL CITY [US]
- くるり [JP]
- The Rentals [US]
- ストレイテナー [JP]
- TEGAN AND SARA [CA]
- 東京スカパラダイスオーケストラ [JP]
- ユニコーン [JP]
- THE YOUNG PUNX
(with special guests RedNPink) [UK]