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MATES OF STATE [US]
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Dr.DOWNERの狂騒感一色になった会場を、クールなポップ感へと塗り替えてみせたのが、ジェイソン(Dr)とコリー(Key)の夫婦デュオ、Mates Of State。3段積みの鍵盤を駆使し、ピアノ/オルガン/エレピ/アナログ・シンセなどどこまでもオーガニックな音色とプレイを披露しながら、その奥底から極彩色のハイブリッド・ポップ感をあふれ出させるコリー。硬軟自在なドラム・プレイでカラフルな音空間を生み出してみせるジェイソン。そして、2人の歌が絡み合って絶妙のハーモニーを描き出す瞬間の、純度100%の透明感……日本人ギタリスト/トランペット&鍵盤担当の2人をサポートに迎えたシンプルな編成ながら、いやシンプルな編成だからこそ、その音像はどこまでも自由で、伸びやかだ。
エレピのあたたかい音色とシンセのアルペジオの波紋の中から、凛とした美しいハーモニーが浮かび上がる“You Are Free”。神秘そのもののように凛として響く、“Unless I'm Led”のコリーのファルセット。あたかも祝砲のように歓喜の彼方へと力強く伸び上がる“The Re-Arranger”のコリー&ジェイソンのヴォーカル。パワフル&ソリッドなビート感のピアノ・ロック・サウンドを展開してみせた“Proofs”……音と音が重なり響き合うことのマジカルな魅力を、ありったけの喜びをもって体現していくような、観ているだけで心躍るような、充実のアクトだった。場内にあたたかなクラップで包んだ最後の“Palomino”が、今ここに集まった僕らすべてへの福音のように響いた。

2日目は“Proofs”を日本語詞でカバーした“夢みたいだ”を発表したチャットモンチーの直前、同じくアコースティック・ステージに登場。1日目同様に“My Only Offer”からスタート、“Ha Ha”“The Re-Arranger”などを経て“Palomino”へ至る流れながら、コリーもジェイソンもサポートの2人も、2度目のアクトのほうがこの場所の空気感をよりリラックスして楽しんでいることが、その音からも伝わってくる。途中、サポートを務める日本人ギタリストを紹介してMCを振るコリー。「日本でライヴをするのは始めてで、感動しています。僕ら絶対日本に帰ってきてツアーしたいので、応援よろしくお願いします!」の言葉に、あたたかい拍手喝采が広がる……洋邦の音楽が混ざり合って独自の磁場を生んでいる『NANO-MUGEN』ならではの、ハートフルな光景だった。

■7月15日

  • 01. My Only Offer
  • 02. You Are Free
  • 03. Ha Ha
  • 04. Unless I'm Led
  • 05. The Re-Arranger
  • 06. Proofs
  • 07. Palomino

■7月16日

  • 01. My only Offer
  • 02. For The Actor
  • 03. Now
  • 04. Ha Ha
  • 05. Unless I'm Led
  • 06. The Re-Arranger
  • 07. Palomino
文/高橋智樹 | 写真/TEPPEI、古溪一道