REPORT
2日目も終盤戦。ユニコーンとともに、今年の『NANO-MUGEN』を語る上で欠かせない邦楽大先輩バンド、スピッツの登場だ。SEもなく、暗闇の中を静かに登場してくる4人。のっけから“今”で駆け出す、青春真っ盛りのような清冽なビート! アリーナの空気を貫いて飛ぶ、マサムネのハイトーン・ヴォイス! そのまま“放浪カモメはどこまでも”とロック・モードでかっ飛ばす!
「どうもこんばんは。スピッツです!」とマサムネ。「今日は……俺ら、ライヴ自体が久しぶりなので、ドキドキしてるんですけど、あの……お元気ですか?」の声に、フロアに笑いが広がる。「横浜アリーナでやるのも初めてなんだよね?」とテツヤの合いの手を受けてマサムネ、「この大きさに負けないように頑張ります!」。マサムネがアコギを構えて歌うのは“チェリー”! 激スウィートなメロディを、Aメロからサビに至るまで満場のオーディエンスが高らかに歌い上げる。そのままアコギのコードを性急にストロークするマサムネ。“スパイダー”だ。オーディエンスの腕がサビの歌に合わせて右に左に揺れていく。その心地好く高揚した空気を、続く“ガーベラ”でそっと包んで空へ返すように、マサムネの歌が、テツヤのギター・ソロが、狂おしく切なくアリーナに響き渡る。そして、再び“8823”で加速! さらに“俺のすべて”でハンドクラップの嵐! ついにはハンドマイクでステージ狭しと歌い回るマサムネ! マイク・スタンドでベースをがんがん弾く、もとい打ち鳴らす田村! 最後は最新アルバム『さざなみCD』から“僕のギター”。スロウ・テンポの祈りのようなスケール大きなメロディが、アリーナの隅々まで染み渡っていく。「楽しかったです! どうもありがとうございました!」と少年のように言って、マサムネ/テツヤ/田村/﨑山の4人はステージを去った。そのカラフルな魅力あふれる演奏に、改めてあたたかい拍手が贈られていた。
■7月20日 01.今 02.放浪カモメはどこまでも 03.チェリー 04.スパイダー 05.ガーベラ 06.8823 07.俺のすべて 08.僕のギター |