REPORT
稀代のピアノ魔術師=Ben Folds、1曲目“EFFINGTON”から爆音ピアノ全開! 3ピースだからこその軽快な疾走感と、3ピースのスケールを明らかに逸脱した超豊潤なアンサンブルが一体となって押し寄せる快感!
そんな壮絶な演奏を披露しておきながら、本人のMCは「ドウモ! ベンチャンデス」とあまりに砕けすぎなのも可笑しい。“ROCKING THE SUBURBS”“DR YANG”と立て続けに披露する頃には、すっかりアリーナは「ベンチャン」のものになっていた。「広島で僕の頭に何が起こったのか?」というMCとともに歌い始めたのはもちろん“HIROSHIMA”(「広島のライヴでステージから落っこちて頭が血だらけ」という歌なのだ)。「オオッオ、オー!」という満場のコーラスを巻き起こし、「ソシテ、アタマガー」と妙に上手い日本語で歌ってみせるベン。
ラスト“NOT THE SAME”の前に通訳:ミキを招き入れて「ミキは天才です」「190cmのアフリカ人の女性です」など適当な言葉を通訳させたり、フロアを3パートに分けてコーラスをさせてみたり、ついにはピアノに昇ってメチャクチャな指揮でオーディエンスを困惑させたり……横浜アリーナの巨大な空間は完全に「ベンチャン」の独壇場だ。
2日目のベンはさらにすごい!
“EFFINGTON”のひとり交響楽団的なスケール感と時速300km大暴走的なスリル! ハネ系ピアノ・ロックンロール“ZAK AND SARA”の錐揉み飛行的な圧巻のソロ・プレイ! クールなジャズの皮をばりばりと引き裂いて「●ァーック!」という絶叫とロックの衝動が顔を出したような“ROCKING THE SUBURBS”! 「ASIAN KUNG-FU GENERATION、サンキューベリマッチ!」とベン。
“NOT THE SAME”の前に、またも通訳のミキがオンステージ。「声の低い方は、このフレーズを歌ってみてください」「低音が強いので、中音域の方は頑張ってください」など「注文の多いミュージシャン」と化し、前日同様わがまま指揮者となって「NANO-MUGEN合唱団」を翻弄する。昨日はここで終わりだったが、「もう1曲」とメンバーに合図するベン。
ラストはなんと“PHILOSOPHY”! Ben Folds Five時代の超名曲に、ひときわ大きな歓声が湧き起こる。エンディングには、ベンはベンでもベンチャーズ(!)の超速ピッキングをピアノ・ヴァージョンで織り込んでみせる。「ニホン、サイコー!」の雄叫びが、歓喜渦巻く横浜アリーナに高らかに響き渡った。
■7月19日 01.EFFINGTON 02.GONE 03.ROCKING THE SUBURBS 04.DR YANG 05.HIROSHIMA 06.ANNIE WAITS 07.STILL FIGHTING IT 08.UNDERGROUND 09.NOT THE SAME |
■7月20日 01.EFFINGTON 02.ZAK AND SARA 03.ROCKING THE SUBURBS 04.DR YANG 05.HIROSHIMA 06.KATE 07.UNDERGROUND 08.NOT THE SAME 09.PHILOSOPHY |