Artist

WEEZER [US]

report

20:24、いよいよアジカン宿願のWEEZER『NANO-MUGEN』降臨! なぜか紙袋から何枚もDVDを出して「おくり……びと?」とおどけてみせるリヴァース。いきなり最新作『Hurley』から“Memories”のアグレッシヴなサウンドを叩きつける! 続けて「日本の映画、大好きです! 『スウィングガールズ』とか『ウォーターボーイズ』とか、ジブリ!」と言いながら、“Undone - The Sweater Song”のイントロに合わせて♪トトロ、トトロ〜とか♪ポーニョポーニョポニョ、とか歌いまくるリヴァース。ポップ逆噴射とでも言うべきウィットと抑え難いエネルギーが渾然一体となったWEEZER劇場、序盤にして早くもクライマックスの熱気! トリプル・ギターの爆音とともにエモーションの限りを尽くして絶唱される“My Name Is Jonas”も“Pink Triangle”も“Don't Let Go”も、それらのWEEZERナンバーすべてが『NANO-MUGEN』の1ページになっていくという実感が、1曲ごとにオーディエンスの中に沁み渡っていく。“Perfect Situation”ではラストの♪オーオーの合唱のところで「もっとお願いします!」「もう一度、大きい!」「ちょうどいい!」「気分がいいです! 元気ですね! 元気になったですね!」と微妙にタガの外れた日本語でフロアを煽り、それがまた観客の熱気の炎に油を注いでいくし、“Hash Pipe”や“Island In The Sun”“Pork And Beans”などのイントロが鳴り響くたびに、ハッとするような歓声が会場に満ちあふれる。終盤に差し掛かった“I Want You To”でリヴァース、突如ギターを置き、ハンドマイクでステージから飛び降り、警備スタッフの肩を組んで悠然と歌い歩き、ついにはアリーナ後方のPAスペースまで到達……しただけでは飽き足らず、通路を全力疾走し、2階席に突入し……とやりたい放題!他のメンバーをステージに残し、2階席に立ったまま本編最後に歌うのは”Only In Dreams”!(ゴッチが中心となって立ち上げた同名レーベルへのオマージュか?)。その間もリヴァースはカメラ・クレーン操縦席に座ったりして猫のようにすばしっこく動き回る。騒然とした会場の高揚感の中、曲の最後になってやっとステージに戻ってきたリヴァースとともに曲を締め括り、5人はステージを去っていった。
強烈に鳴り響くアンコールの声! そして再びステージに現れたリヴァース、アコギを構えての第一声は「ちっ、ちっ、ちっ、ぷーす! コイケヤ、ポテトチーップス!」。思わず脱力しかけるアリーナに向け、「ありがとジャパン! ASIAN KUNG-FU GENERATION、RENTALS! アイドントフォーゲット! がんばってジャパン!」と呼びかけ、再び割れんばかりの大歓声! アンコールはRADIOHEAD“Paranoid Android”カバー、そして“Buddy Holly”ででっかいハンドウェーブを巻き起こし、最高のフィナーレ
……かと思いきや、最後は5人全員がドラム・セットに集まって1つのセットで陣太鼓状態に! 本編16曲+アンコール2曲というロング・セットで『NANO-MUGEN』の舞台を沸かせまくったWEEZER。すべての音が止み、肩を組んで一礼する5人に、惜しみない拍手がいつまでも贈られた。

■7月16日
  • 01.Memories
  • 02.Undone
  • 03.My Name is Jonas
  • 04.Pink Triangle
  • 05.Don't Let Go
  • 06.Perfect Situation
  • 07.You Gave Your Love to Me Softly
  • 08.Hash Pipe
  • 09.Photograph
  • 10.Island in the Sun
  • 11.Pork and Beans
  • 12.Beverly Hills
  • 13.Surf Wax America
  • 14.Say It Ain't So
  • 15.I Want You To
  • 16.Only in Dreams

  • EC1.Paranoid Android
  • EC2.Buddy Holly
文/高橋智樹 | 写真/TEPPEI