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2008.07.21(mon) 即日レポート!!
昨日の猛暑が若干和らいだ、薄曇りの『NANO-MUGEN』2日目。この日も「『NANO-MUGEN FES.』2日目へようこそ!」という山田&キヨシのMCコンビが登場。「昨日も来た人!」「昨日、花火大会へ行った人!」「昨日、花火大会と『NANO-MUGEN』を天秤にかけて花火大会へ行った人!」と軽く笑いのジャブをかますキヨシ。キヨシは今日も作務衣姿。4Fのゲストリアムで販売中の特製作務衣、1日目はなんと完売だそうだ。
12:40、幕が上がると、そこにはアフロヘアーのドラム&ヴォーカル=マエノソノのシルエット。「ハロー! ウィー・アー・8otto。『NANO-MUGEN FESTIVAL』! 楽しい今をありがとう!」と“RIWO”の最初の1音からエンジン全開! NYロックの遺伝子が日本で開花したような濃密なサウンドとグルーヴ。「初めましての人は初めまして。久しぶりの人は久しぶり。一緒に楽しんでいきましょう」とマエノソノ。おそらくまだ「初めまして」の人が圧倒的に多いはずの8otto、でも彼らのアクトを観ようとする人たちでこの時間からフロアは満員! そんな熱気に応えるように、マエノソノは立ち上がってドラムを乱れ打ち、絶叫し、ステージ前で「Say HO! Say ウワー!」とフロアを煽りまくる。2日目の幕開けに相応しい渾身のアクト!
そんな熱気を、冷徹なギター・ロックと鋭利な詞世界で切り裂いていくのが、次に登場したART-SCHOOL。横浜アリーナに響き渡る甘美なメロディと突き刺すようなギター・サウンド! 《君をなくしたら 僕は死ぬだけ 君をなくしたら 生きていけるはずがない》という“MISS WORLD”の歌詞がオーディエンスに氷の刃を突きつけていくような、戦慄にも似た妖しい快感! 「実はですね、NANO-MUGENは僕ら第1回(2003年@新宿LOFT)の時に出てて。久しぶりなので、今日は気合い入れてやってきました」(Vo&G・木下理樹)と言いつつ、この5年間で格段にスケールアップしたバンド・サウンドで『NANO-MUGEN』の空間をART-SCHOOL色にじっくり染め上げていく。充実のアクトだった。
ここで再びMC。今回はゴッチ&喜多コンビ。「盛り上がってるかーい?」「盛り上がって、いるのかーい?」「それとも……盛り上がっているのかーい!」の喜多3段コールに大歓声。「建さんは、いろんなフェスとかライヴとかいろいろ勝手に行くんですよ。だから、いろいろ楽しみ方を知ってると思うんで。形態模写とかやってほしいね」というゴッチのリクエストに応えて、「アジカンを知らなかったけど、初めて観てだんだんノってきた白人女性」の形態模写を披露。「みんなもね、知らないバンドでも楽しめばいいからね、今の建さんみたいな感じでね」とゴッチ。『NANO-MUGEN』、まだまだお楽しみはこれからだ。
「切ないのに踊れる」と喜多が紹介する次のバンドは、hellogoodbyeフロム・カリフォルニア! 1曲目“ALL THE LOWS”の、スーパーボールのように触っただけでぽんぽん弾けて飛んでいきそうなギター&シンセのサウンド! 「ワーオ! ゲンキィ? ヨコハマー!」と、間違ってステージ上がっちゃった細身のガリ勉くんみたいなルックスのVo・G=フォーレスト。しかし、彼が時折髪をなでつけながら歌うメロディはしかし、この広い会場のオーディエンスをそっくり鷲摑みにするくらいのスケール感を持っている。最後は打ち込みリズムにのせて、フォーレストがハンドマイクでステージ狭しと歩き回り、ドラマーがフォーレストのギターを背負って思うさま歌い弾き倒す“TOUCHDOWN TURNAROUND”のお祭り騒ぎへ!
 
hellogoodbye終演から間もなく、「DJ & ACOUSTIC STAGE」に響くローズ・ピアノ。日本のインスト・ジャム・バンドの至宝、SPECIAL OTHERSの登場だ。“STAR”のローズとギターの速弾きユニゾンも、4人のキメも決まり、ロータリー・スピーカーから溢れ出すオルガン・サウンドが、真夏の屋内フェスに一陣の風を吹かせていく。「初めての『NANO-MUGEN』、とても楽しみにしてました!」とKey・芹澤。「4人とも高校の同級生なんだけど、その高校がここから歩いて5分ぐらいなんです。みんな遊びに行ってください」(Dr・宮原)「ダメだよ!」(芹澤)といったMCで空気を掴んで、続く歌ものシングル曲“Laurentech”、さらに“AIMS”の、ジャム・バンドとしての熱い血潮を感じさせるアンサンブルで1万人を魅了!

再びメイン・ステージに戻って、山田&キヨシのMCコンビが登場。「どのバンドもすばらしくて。感動しっ放しで、ちょっと1杯飲んじゃったんですけど」とキヨシ。「盛り上げにきたんだけど、必要ないかな」と言ったところに、またもや盛り上げプロフェッショナル=喜多建介が。「フォーッ!」「フウッ、フウッ」のコールをキメたところで、昨日に引き続きASHへ!

“Meltdown”から始まった昨日とは違い、“Lose Control”で衝動剥き出しのアグレッシヴなスタートを切ったASHのステージ。“Burn Baby Burn”でわざとブレイク入れて手拍子と合唱を誘うティム。10年前、ASHが4人になってすぐ書いた映画主題歌だった“A Life Less Ordinary”の疾走感も、3人編成のASHはがっちりタフに再現していく。“Kung Fu”ではOi Oiコールまで湧き起こる! 最後、ストリングスをフィーチャーした“Twilight Of The Innocents”をありったけの力で熱演! バンドのスケールと圧倒的な表現力をアピールして、自身の2日間のアクトを締め括ってみせた。ティムはギターを高々と掲げながら、3人並んで深々と礼をする。大きな拍手! 『NANO-MUGEN』2日目、絶好調!
そして……1Fフロアどころか2Fスタンドにまで入場待ちの列が伸びる中、17:27、いよいよELLEGARDENの登場! 1曲目“Space Sonic”に、横浜アリーナはあっという間に大揺れ! 夏のライヴ・スケジュールの終了とともに活動休止を決めているエルレの勇姿を一瞬たりとも見逃すまいと、誰もが必死でステージを凝視している。「アジカン、毎回呼んでくれてありがとう」という細美のMC、そして“Marry Me”の途中での「横浜ありがとう!」というコールに、歓喜と悲しみの入り交じったような歓声が湧き起こる。再び細美。「すっげえ楽しいです! 楽しいことってキリがあるような気がしてたけど、やればいいんだよね。俺たちはしばらくお休みするけど、こんな楽しいことってやめられないし」。大歓声! 続く“Make A Wish”で終了……と思いきや、最後に“ジターバグ”! 『NANO-MUGEN』の1つのピーク・ポイントを刻む、歴史的瞬間と呼ぶに相応しいライヴだった。
エルレの熱気の残る中、「DJ & ACOUSTIC STAGE」に現れたのは、DJでロックするフランスの奇才、SPACE COWBOYことニコラス・ドレスティ。爆音ビートと鋭角ギター渦巻く“ACROSS THE SKY”で一気に超高気圧型アゲアゲ音楽空間へ突入! そのあまりの攻撃的サウンドに、さすがにエルレが終わって休憩に出ていたオーディエンスがどんどんフロアに戻ってくる。“RUNNING AWAY”の銀河系まで逃避行しそうなタイトなビートでクラップの嵐を起こし、“RAISE THE ROOF”では激太リフにのせて歌い跳び、と自由自在に攻めまくる。極めつけはアジカンの“ループ&ループ”の爆裂リミックス! 最後はダンサーを交えての“TALKING TO YOUR SLEEP”で紙吹雪の大団円!
ここでMCゴッチ登場。「さっきのループ&ループのリミックスは、ちょっと嬉しいやら恥ずかしいやらだけど(笑)……でもありがとう!」とSPACE COWBOYへの感謝を述べつつ、次のTHIRD EYE BLINDの紹介をするゴッチ。来日も10年ぶりとなる彼らを、とびっきりの盛り上がりで迎えよう!と、ここで昨日に続いて「よいしょ!」大会。日本相撲協会公認のキャップをかぶって、渾身の四股を踏むゴッチ! 横浜アリーナに再び「よいしょ!」がこだました瞬間だ。今年の『NANO-MUGEN』も、もうあと2組を残すのみだ。
19:03、5年ぶり再始動&10年ぶり来日のTHIRD EYE BLIND、いよいよここ横浜アリーナのステージに降臨! まずは97年の1stアルバムから“losing a whole year”。ゆったりしたビート、スティーヴンの高らかなヴォーカル、そしてトニー(G)のファルセットが妖しく絡む。そして、これぞUSオルタナ!というラフなギターと骨太リズム の“Wounded”が、再び満員になったフロアをゆっくり、しかし確かに揺らしていく。「ヨコハマ! ゲンキデスカ!」というスティーヴンの声に大きなレスポンス! “Graduate”“Danger”とアグレッシヴな楽曲を畳み掛け、ヴァイオリンをフィーチャーした新曲“Non-Dairy Creamer”を披露。「タノシンデ!」と言ってるスティーヴンが何より楽しそうだ。1st収録の“Motorcycle Drive By”を絶叫&熱演する彼らの、まるで色褪せないエッジ感! 最後はお待ちかねの激ポップ・チューン“Semi-Charmed Life”! 至上の祝祭感たっぷりの横浜アリーナは、そのままラスト・スパートへ突入!



20:28、客電が落ち、アジカンのメンバー登場に大歓声!
キヨシのドラムから入る今日の1曲目は――『君繋ファイブエム』の1曲目“フラッシュバック”!
面白いようにフロアが揺れる中、アルバムの曲順同様“未来の破片”のディストーションが響き渡ると、さらに大きな歓声が!
昨日はしきりに声を心配していたゴッチだが、そんなことはお構いなしに最初からかっ飛ばし気味でシャウト!
熱い1日を振り返って、今日もゴッチが総括MCで各バンドへの感謝を伝えていく。SPACE COWBOYのリミックスがまだ気になっているようで、「あの、俺の歌詞が細切れになったやつね。俺よく歌詞間違えるから、それを指摘されてんのかなと思って(笑)」。そして、「あとELLEGARDEN。みんな思うところも、言いたいこともいろいろあると思うけど、また会えると思うし、『NANO-MUGEN』にも出てほしいし」と、『NANO-MUGEN』を通じてエルレと共に闘ってきた盟友ならではの言葉に、会場から熱い拍手が湧き起こっていく。
“転がる岩、君に朝が降る”“夏蝉”を立て続けに演奏した後、再びゴッチの述懐MC。「後ろで観ていてね、『NANO-MUGEN』始めた頃のことを思い出したりして……いいフェスになったなと思って」。そして、「音楽が好きな人が増えたら、もっといろんなことがよくなっていくと思うんだよね。反戦歌を歌ったって戦争はなくならないし、インターネットに書き込んだって気分は晴れないけど、『だからそれは無駄だ』っていうふうに思わされてるところがある気がするんだよね。そういう状況に、僕らは音楽で対抗していきたいと思ってます」。ゴッチの新たな闘争宣言に、会場のテンションはさらに上がる一方だ。「大ヒット・シングルやります」と“リライト”へ突入してからは、“ループ&ループ”“遥か彼方”“羅針盤”“君という花”と一気に駆け抜ける流れでひときわ大きくフロアを揺らして、本編終了。
鳴り止まないアンコールに応えて、再びアジカン登場。「僕、これからハンドマイクで歌うんですけど」とゴッチ。「なぜかと言うと、THIRD EYE BLINDとセッションするんで」……なんとTHIRD EYE BLINDが現れ、アジカンとの奇跡の共演が実現! blurの“Song 2”の「フウッフー!」を力いっぱい歌い上げるゴッチ&スティーヴンに、横浜アリーナのオーディエンスも力いっぱいのジャンプで応える! 最後は、アルバム『ワールド ワールド ワールド』のプロローグ“ワールド ワールド ワールド”とエピローグ“新しい世界”を直結するドラマチックな流れを描いて……2日間のすべてが終わった。
そして…………終演後にヴィジョンにでっかく浮かんだ、「SEE YOU NEXT YEAR!」の文字! ロックの「今」を提示する『NANO-MUGEN』のさらなる充実ぶりを楽しみにしつつ――また来年お会いしましょう!
文/高橋智樹