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2008.07.20(sun) 即日レポート!!

前回の開催から2年、『NANO-MUGEN FES.2008』いよいよ開幕! これ以上ないくらいの快晴の中、11時の開場を待ちきれない人たちが列を作るここ横浜アリーナ。開場に先駆けて朝9時半から正面入口で行なわれていた、『NANO-MUGEN FES.』オフィシャル・グッズ販売も大賑わいで、集まった人たちの気合いがびしびしと伝わってくる。いよいよだ。

12:30。なだらかな曲線を描く装飾が印象的な今年のメイン・ステージに現れた2つの人影……「ASIAN KUNG-FU GENERATIONの山田です!」「キヨシです!」の声に大歓声! 4Fのゲストリアムでも販売中という作務衣を着て登場したキヨシがフェスの注意事項をアナウンスした後、横浜アリーナ一丸となって「5、4、3、2、1……」のカウントダウン。そして、「『NANO-MUGEN FES.2008』、スタートです!」のコールとともに、出演16アーティストの紹介映像へ。ついにフェスが始まった! そんな実感がフロアいっぱいに広がって……。
12:45、トップバッターのアナログフィッシュが登場! 1曲目“Hello”に入る前の「ハロー! 聞こえますか! こちら、横浜アリーナのアナログフィッシュです!」という下岡のMCが、これから始まる2日間の熱狂への予告のように響き渡ると、オーディエンスからひときわ大きな歓声が! “ダンスホール”“夕暮れ”など、晴れやかなハーモニーのカタマリをタフなビートで加速させるアナログフィッシュの楽曲に、沸き起こるクラップと「イェー!」のコール。開演間もないフェスの温度は早くもじりじりと上昇中!
そんなアナログフィッシュから一転、エッジの利いたへヴィ・サウンドの嵐を吹きまくらせるのが、今やロック・シーン全方位的に注目と期待を集める4人組、9mm Parabellm Bullet! Vo&G=タクローの「今日は横浜の花火大会なんだってね。でも、みんなも今日は何かしら打ち上げにきたんでしょ?」というMCがフロアの熱を高めたところに、“Supernova”“marvelous”と曲を連射。衝動大噴火のアクトに、フロアに突き上がる拳、拳! 熱に浮かされたような拍手がアリーナを満たしていく。

ここで再び登場した山田&キヨシのコンビ。「みなさん、声出していきましょう! ちょっと練習してみましょうか」とキヨシが話していると、後ろから喜多くん登場! 「みなさん、NANO-MUGEN FES.へようこそ! フォーッ! 次はロサンゼルスのPHANTOM PLANET!」というコールに歓声が湧いた直後、パッと照明が落ち……。

そこに響く強烈なビート。いきなりPHANTOM PLANETの“ALWAYS ON MY MIND”に突入! ガレージっぽいツイン・ギターとキャッチーなメロの応酬に、早くもオーディエンスは一面の手拍子。「ゲンキデスカ?」とか「メチャメチャスゴイデスネ!」というアレックスの日本語MCにもあたたかい歓声が起こる。ドラマの主題歌にもなった代表曲“CALIFORNIA”には自然と合唱も湧き起こる。NANO-MUGENは早くも3組目にして、ロック・フェスとしての熱気と磁場がばっちりだ。
15:30、ステージ向かって右側の「DJ & ACOUSTIC STAGE」の一番手として登場するのは、裸足のポップ・シンガー・ソングライターの奇才、トクマルシューゴ。「えー、アリーナにきたのは初めてなので、勝手が分からないのですが、勝手がわからない感じでやろうと思います」ととぼけたMCをかましつつ、それでも“PARACHUTE”の超速アコギ・プレイ、そしてヴィブラートのきいた歌声で涙と悲しみの風景を描く“BUTTON”などは、思わず1万人のオーディエンスをぐっと惹き込む力を秘めている。
 
そして16:10、アジカンとともに2日間ダブルヘッダーを務めるUKロックの優駿=ASHの登場! “Meltdown”“Burn Baby Burn”“You Can't Have It All”の3曲で畳み掛ける、3ピース・ロックの究極形のようなタイトなサウンドの爽快さが、フェスの熱気をさらに高めていく。「Next song is dedicated to ASIAN KUNG-FU GENERATION!」というティムのMCに続く曲はもちろん“Kung Fu”! 最後“Twilight Of The Innocents”の前に、ティムが「This is the last song. Good Night!」と言っていたが、この時点でまだ17時前。これもインドア・フェスならではの魔術だ。
続いて17:25……アジカン以外ではもちろん『NANO-MUGEN』最多出場バンド=ストレイテナー! “ALIBI”“PLAY THE STAR GUITAR”で横浜アリーナの地面が揺れる! 「ほぼ毎回出演しています。ストレイテナーと申します。俺らを呼ばなかったら怒られるんじゃないかぐらい気を遣われているフシもありますが」と冗談めかしてホリエは言う。でも、続けて「横浜CLUB24という小さいところでやってた頃からずっと……こうして仲のいいバンドと一緒にやれるのは嬉しいです」と語ると、テナーとアジカンの共闘関係を讃えるようにひときわ力強い歓声が! 先ほどのASHで上がった温度が、明らかにもう2、3度は上がっている。
1日目も終盤戦! サブステージには、前回の『NANO-MUGEN』に反則変化球ポップな狂騒を加えてくれたUKダンス・ユニット、THE YOUNG PUNX! アジカンの“アンダースタンド”をマッシュアップした“ROCK STAR”でフロア一面手拍子状態へとアゲまくったかと思うと、ショルダーキーボード抱えたハルの「イコウゼ!」の声とともに、長髪凄腕ギタリストとピエロ覆面男とグラマー女性Voと動物の覆面かぶったダンサーが加わって……と1曲ごとにカオスっぷりを増して、フェス特有の狂騒感をいやが上にも煽っていく。最後はキャメロンのスーパーマン姿で大団円!(?)。。
いよいよトリ前=Stereophonics!……の前に、ステージにはMCアジカン第4の男=ゴッチが登場! 「どうも! 盛り上がってますか! 他の3人はもうしゃべったんでね、お前もしゃべれということで。今日はどうもありがとう!」の声に、横アリ中から大歓声! 「後ろのほうとか、もうひと盛り上がりすると楽しいと思うんで。今は名古屋場所ということで、僕がこれから四股を踏みますんで」というゴッチの声に合わせて、1万人が「よいしょー!」と大合唱。フロアが1つになったところで、いざStereophonicsへ!
もうのっけから、ギミックやトリック皆無の直球なのに誰も打てない、みたいなStereophonicsのぶっといグルーヴがオーディエンスを直撃! 英国が最も愛し育んできたロック・バンドが、長いキャリアを経て今もなお世界のロックを揺さぶり続けている。最高だ。フロアの大盛り上がりのリアクションに気をよくしたのか、いちいち曲の合間にケリーが「お前らすげえよ」的な笑顔を浮かべるのが可笑しかったし、なんだか誇らしかった。アップ・テンポの楽曲のみならず、ヘヴィ・バラード“It Means Nothing”“Mr.Writer”の狂おしいほどのスケール感が、今年の『NANO-MUGEN』にスペシャルな味わいと存在感を与えていく。そして………。


早くも1日目のラスト・ステージ。『NANO-MUGEN』のヘッドライナー、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの登場! 薄暗い中、4人が登場。そのまま“ワールド ワールド ワールド”の壮大なアンサンブルへと漕ぎ出していく。そして“アフターダーク”の気合い充分のイントロで早くも揺れに揺れる横浜アリーナ! この日のフェスを盛り上げてくれた各アーティストに、MCで感想と感謝を述べていくゴッチ。「ストレイテナーはね、懐かしい曲をやってくれたのがよかった。あとStereophonicsね。あれはもうね、すごいですよ。本物の本マグロ食べたみたいなね……たとえが悪かったら謝りますよ」と軽い笑いで空気をほぐし、さらに曲を重ねていく。特にコンピ盤に収録されていた“夏蝉”の疾走感に、アリーナの高揚感はさらに加速!
「あー、もう『ありがとうございます』しか出てこないね」と再びゴッチのMC。明日も連投の喉を気遣いつつ、「明日、声出るかな? でも、振り絞ってやるんで」と気合い一閃、“振動覚”“リライト”といった攻めの楽曲で再びフロアを揺さぶっていく。“羅針盤”“ループ&ループ”でさらに温度を上げた後、“転がる岩、君に朝が降る”のスケール感を残して本編終了。
アンコールで再び現れたゴッチ、“センスレス”“アンダースタンド”を渾身の力で歌い上げる。そんな姿に、横浜アリーナいっぱいのオーディエンスが懸命に応える。正真正銘のラスト・ナンバーは、アルバム『ワールド ワールド ワールド』のラスト・ナンバーにして、文字通りロック新世界への旅立ちの曲“新しい世界”を力強く演奏し、4人でガッツポーズをキメて……1日目は終了。すでに1日目にして相当ドラマチックな展開を見せつつある『NANO-MUGEN』、そしてアジカン。明日=2日目はいったいどうなるのか? 今から目が離せない。
文/高橋智樹